大企業経理がつまらない・きついと言われる理由をメーカー経験者が暴露
「大企業の経理は人が多くてつまらない?」
「残業が多くて大変そう」
せっかく大企業の経理になっても、イメージと違って辞めたくなるのは避けたいですよね。
この記事では、ぼくの実体験をベースに大企業経理のメリットとつまらないと言われるワケを解説します。
大企業経理ならではのやりがいの見つけ方、経験の積み方など、少しでも大企業経理で有意義に働くための3つのコツも紹介します。
大企業にいるけどつまらないと感じている向けに、意味のある会社生活を送るコツを紹介するので最後まで読んでみてくださいね。
(ここでは経理・財務・税務まとめて「経理」と呼んでいます)
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- 1社目は地方勤務で残業続き
- ただ仕事に追われて20代が終了
- 30才過ぎてから転職を決意
- 2社目は転勤なしでホワイト職場
- 残業は月40hr超から10hr未満に
- 簿記2級、米国公認会計士保有
大企業経理がつまらないと言われる理由8つ
ではなぜ大企業経理はつまらないと言われるのか?
担当業務が細分化されている
大企業では経理部門内の業務分担が明確に分かれています。
規模が大きくなればなるほど、一人が担当する領域は細かく分解されていきます。
たとえば、一つの財務諸表を作り上げるとしても、
- 請求書を使って伝票をつくる担当
- 取引先への送金する担当
- 部門ごとの計上結果を集計・分析する担当
- 全社の数値を取りまとめる担当
- 財務諸表をつくる担当(通常はパートごとに複数人で分担)
といった形で、多くの人が関わるため、全体像がイメージしにくくなります。
専門性をしぼり込みにくい
経理の中でも管理会計や財務決算、社外開示、財務管理、税務管理、子会社管理など専門領域は多岐にわたります。
しかし、大企業ではさまざまな業務を経験させて育てようとする傾向にあるため、なかなか自分の専門性をしぼり込む機会がありません。
逆に特定の領域が固定化しており、希望しても異動できないというケースもあります。
変化を求めず保守的
日本取引所の上場企業の平均寿命は「89年」と長寿です。(日本経済新聞調べ)
そのため、自分が生まれるよりも前にあった会社は自分が死んだ後も残っているなんてことも不思議ではありません。
ぼくが働いていた会社でも、業務システムは昭和から変わっていない拠点がありました。(さすがに中身はアップデートしてますが、それにしても古い)
最新のものを導入すればもっと効率的なのになって感じることはあったものの、変えるにも莫大な予算がかかるのでそのまま、なんてことも。
最近のコロナ禍などもありリモートワークに対応した環境づくりをする雰囲気は高まっていますが、なかなか業務内容を大きく変えるには時間がかかります。
規則やルールの縛りが多い
大企業になればなるほど、会計規則や社内ルールが細かく設定されています。
これによりどこにいても統一された基準に沿って業務ができるというメリットはありますが、柔軟な対応ができないといったデメリットもあります。
監査が多く厳しく
経理では毎年何かしらの監査を受けています。
会計決算監査や内部監査、自己監査、税務調査などさまざまです。
もし不備や誤りが見つかったら、その修正や業務内容の改善報告を求められ、改善しているか再度監査を受ける必要もあります。
コンプライアンス遵守のために必要とはいえ、なかなかしんどいですね。
転勤リスクがつきまとう
大企業だと全国に拠点があります。
お客さんの立場から見ればどこでも同じ商品・サービスを手に入れられて便利なのですが、中で働く人にとっては転勤のリスクが常にあります。
特に経理の場合は不正などを防ぐ観点からも定期的に転勤をする方針の会社が多く、生活拠点が固まらないのが悩みです。
ぼくもこの点がネックで転勤のない会社へ転職しました。(経理は1拠点しかない)
地方配属になって辛かった時の話で詳細を紹介しています。
社内政治に巻き込まれる
経理では、大きな設備投資や資金調達、決算書の承認などさまざまな局面で社内決済を受けたり、各種報告書作成業務も担当します。
そのため、社内向けの資料作成に時間を割くことになります。
また、社内の制度を変えたり、部門間の調整をする際には社内政治に巻き込まれて、人間関係に悩まされることも多々あります。
社外との接点が少ない
経理は外部との接触が少なく、接触するとしても銀行や監査法人の会計士、国税庁の調査官だったりとあまり嬉しくない相手とのやり取りになります。
そのため社内の人ととの接点がメインとなるため、なかなか社外の雰囲気を感じる機会が限られ、閉塞的な感覚になりがちです。
また社外で働く人との接点が限られるため、今の働き方に疑問を感じたり、他の選択肢があることが忘れ去られがちになります。
大手メーカ経理がキツかった理由3つ
苦労の割に報われない原価計算
メーカ経理に原価計算は必要不可欠な仕事ですが、担当者の仕事は複雑で細かい割に報われないと感じます。
例えば、ぼくの担当した製品は、年に1度「レート(標準原価)」を設定します。
また製品を作るための生産ラインごとの加工費や製造単位ごとの材料費の単価も設定します。
多いところでは数10種類の設定になるので1ヶ月がかりの作業になります。
さらにこの「レート」と実績値を比較して差異分析を行い、原価低減のヒントを探ります。
地道な作業や物事を突き詰めるのが好きな人なら良いかもしれませんが、膨大な時間がかかるわりに目に見える成果はあまりなく、かなり苦行のような思いをしました。
製品への親近感が湧きにくい
製品が日常生活であまり目に触れない製品の場合、社会への貢献度を感じにくいです。
たとえば化学品や企業向けの大型設備などは「この街のどこかで利用されているのだろうな」とは思うのですが、なかなか実感が湧きにくいです。
もちろん、食品や家電のように身近なものだった時は、逆に「もう見たくない」と感じることもあるでしょうが、実感があった方が良いですよね。
エンジニア優位の雰囲気
メーカの場合、エンジニアが重宝され経理のようなスタッフ部門は軽んじられると感じることもありました。
経理は経営状況を経営幹部に説明するなど、経営に関わる機会の多い職種です。
しかし経営幹部に登っていくのはエンジニア出身者だったり、事務方だとしても営業畑の人だったりと経理は裏方になるばかりです。
大企業経理の4つの魅力
大企業経理のメリットは大きくわけて4つあります。
転職で有利
経理は会計や税務の専門部署です。
わたしの場合、1社目がメーカだったので原価計算から担当し、年次が進むにつれて管理会計、税務会計や会計決算といった業務も担当しました。
2社目では、財務管理や税務申告など新たな領域を担当し守備範囲を広げています!
いずれも経理のプロとして経験・知識を深めることができます。
また、経理は簿記がベースにあり、税金の計算も制度や考え方は共通なので、
社外に出ても役に立ち、即戦力として働けるので転職も有利です。
会社の経営状況がわかる
管理会計を担当していると、定期的(通常は月次、業界によっては週次や日次)に損益を集計し、経営層へレポートします。
会社幹部の会議資料などを作成するので、経営者と同じ目線で経営状況を見れます。
また、社外への開示資料を作成する部署にいけば、株主などのステークホルダー向けの資料を作成するため、より高度な経営情報に触れる機会が増えます。
ミスを減らす仕組みがある
大企業では扱う金額も大きい分、ひとつのミスが致命傷になります。
そのため、大企業では業務システムや内部統制によって不正や間違いが起きにくい仕組みが構築されています。
ミスが起きにくいとはいえ、桁を間違えると大事故になるので緊張の日々です。
全部門に人脈が広がる
経理はお金や経営指標を扱うため、どんな部門とも接点があります。
さらに、たとえ若手であっても管理職や経営層を相手に仕事をする必要が出てくるため、自然と度胸が身につきます。
ぼくも新卒時代から50歳を超えるようなお偉い方に資料のレクチャーをしたり、経営会議に同席したりと数々の修羅場を乗り越えてきました。。
就活のころは、「人と話すのが苦手だから」という理由で経理を希望していましたが、結果的にはいろんな人とコニュニケーションをとる必要があり、とても鍛えられました。
大企業経理で有意義に働く3つのコツ
ルーチンワーク以外を経験する
経理は月次や年次でのルーティンワークが多く、単調になりがちです。
そのため、積極的に非定型業務に手を挙げて経験値を積みましょう。
程度の差はありますが、具体的に経験した例を挙げるとこんな感じです
- 会計基準変更・税制改正への対応(IFRS移行、インボイス制度など)
- 新事業立ち上げ(投資計画、事業計画立案)
- 拠点の統廃合(予算の編成)
- M&A(企業価値算定など)
- 新しい経営指標確立(指標の定義づけ、日常業務への落とし込み)
- 業務フローの電子化(リモートワーク、ペーパレス促進)
このような業務は経理以外の営業や経営層と関わる機会にもなり、人脈も広がります。
専門を決めて、極める
経理畑でもさらに専門特化した領域を極めるのも良いですよね。
例えば税務やM&A関連の業務は高度で経験者数が限られるので、それだけで転職市場での価値が高まり、ステップアップも期待できます。
実際に転職の求人を見ていても特に税務系の求人は多いものの、実務経験を求められるケースが大半でぼくのケースでは断念しました。
その苦い思い出から、今は積極的に税務領域の業務も担当しています。
資格で知識の幅をひろげる
経理をやっていても、担当する領域に詳しくなるだけで網羅的に知識をつけるのは難しいです。
そんな時は資格を取るのが手っ取り早いです。
まずは簿記から始め、自分の興味に沿って他の資格にも手を伸ばすのも良いですよね。
経理系の資格はさまざまあります。
- 日商簿記2級以上
- 公認会計士
- 米国公認会計士
- 税理士
- 給与計算検定
- ビジネス会計検定
- ファイナンシャルプランナー(FP)
資格を持っていれば、すぐに転職しなくても知識・スキルの証明になりますよ!
大企業経理で働くメリット
大企業経理にはもちろんメリットもあります!
定型業務はマニュアルが充実
経理業務はルーチンワークが多く分業体制なので、業務マニュアルも比較的充実しています。
小規模の企業になると、特定の人がずっと同じ業務をするため、引き継ぎも頻繁でなくマニュアルが整備されていないケースが多いので、その点大企業は安心です。
金額規模が大きい
取り扱う金額が大きいため、個人では扱えないような億レベルお金を動かすことになります。
だんだんと金銭感覚がおかしくなりますが、それだけの規模の事業に関わることができるのでやりがいは十分感じられます。
高度な専門性が身につく
大企業になると、高度な専門知識や分析力、問題解決力を求められるケースが増えます。
例えば、前例のない原価計算手法の確立やシステムの切替、財務データの解析を伴う経営環境の分析・予測などです。
実務を通して貴重な経験が積めるのは大企業ならではですよね。
事業領域が広い
大企業では複数の事業を行っていることが多く、事業が異なるとまるで違う会社のような感覚になります。
そのため、社内異動で担当事業が変わると新鮮な気持ちで業務にあたることができ、転職まで踏み切らなくても良かったりします。
海外との接点が多い
海外展開している企業であれば、海外拠点とのやり取りが発生するため、さらに視野が広がります。
英語に苦手意識のない人であれば、積極的に海外事業に関わると経験値もスキルも上がりますよね。
【まとめ】大企業経理をうまく楽しもう
大企業経理はつまらないと感じる点もありますが、
関わり方によっては貴重な経験ができる場でもあります。
今後のキャリアを同じ会社で積んでも良いし、転職して新しい環境で経理の経験を積むこともできます。
ぼくは転勤があることや残業が多いことがネックで転職をしましたが、条件に合う大企業は他にもたくさんありました。
ぜひ自分に合う企業を見つけて経理を極めていきましょう!
このブログでは20-30代の転職に役立つ情報を載せていますので他の記事も是非読んでみてください!
ではではー。